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「えんがるのアイヌ語地名と洪水伝説」開催レポート

「えんがるのアイヌ語地名と洪水伝説」開催レポート

10月20日(木)、今回のGeoCafe(ジオカフェ)は、北海道博物館/アイヌ民族文化研究センターから遠藤志保先生をお招きして「えんがるのアイヌ語地名と洪水伝説」をテーマに木楽館(もくらくかん)にて開催しました。

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今回の講師 遠藤志保先生。今年7~9月に開催された北海道博物館第2回特別展「ジオパークへ行こう!」のご縁により今回の企画が実現しました。遠藤先生は、アイヌ文学を専門とされています。

さて、遠軽町のみなさんは現在もアイヌコタンが残るような地域に比べ、アイヌ民族やアイヌ文化について触れる機会が少ないのではないでしょうか?しかし、この地域にもアイヌ民族の歴史・文化はあったはずです。彼らは文字を持たなかったので、その痕跡は地名や口伝えの伝説がわずかに残るのみですが、今回はそれをテーマにアイヌの文化や歴史について考えてみましょうという企画でした。

前半は、地元の地名の語源をモチーフに、アイヌ語発音の基本原則について教えていただきました。

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「”カ”ムイ」じゃなくて「カ”ム”イ」とか、ガイドネタとして役立ちそう・・・

後半は、町のシンボル瞰望岩(がんぼういわ)にまつわるアイヌの言い伝えをどう読むかというお話しでした。この言い伝えは「インカルシの戦い」として遠軽町史などに紹介されていて、あらすじは次のようなものです。

~その昔、湧別アイヌと上川アイヌの争いが起き、敗走を続ける湧別アイヌが「インカルシ(瞰望岩のこと)」に逃げ防戦。上川アイヌがある夜暴風雨を突いて攻撃をしかけたところ、湧別川がはん濫し上川アイヌは濁流に飲まれ、湧別アイヌが勝利した。~

しかし、このお話しには、町史以外にも初出の寒河江太郎編「上瀬戸瀬・瀬戸瀬・野上郷土史」(1929)や躍進北見会(1940)、更科源蔵「北海道伝説集」(1955)などいくつかの資料があり、それぞれの内容に違いが見られることが指摘されました。

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当日の配布資料。各資料の違いと共通点が一目でわかります

そして、この違いや共通点に着目して、この伝説の本質に迫るというのが、この日の遠藤先生の論旨でした。地元の言い伝えをどう解釈するかというお話しをしながらも、研究者の文学作品の読み方の一端も感じることができ、と~っても楽しい、勉強になる時間になりました。

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カフェ=討論の場の位置付けです。遠藤先生のお話しの後は、地域の方とのトークタイムも設けました。水害に悩まされてきた町の歴史とこの洪水伝説が関係あるのではないか?という推論が紹介されたり、英語とアイヌ語の発音が似ている!物語からどこまでリアルな部分を見出すべきか?アイヌ民族のくらしの規模感は?などの意見や質問が飛び交いました。
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本日のコーヒーは、えんがる町観光協会のご協力で瀬戸瀬温泉水コーヒーを提供しました。普段から木楽館では100円セルフサービスでお飲みいただけます。

当日は、関係者を除いて30名以上のお客様にお越しいただき、満員御礼です。GeoCafe第2弾も前回に引き続き手応えを感じるイベントになりました。11月も20(ジオ)の日にGeoCafeを開催する予定です。お楽しみに!

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